氏名 吉岡朱里
所属 文学部 人文学科
宿舎 桑の木留学生宿舎
入居期間 2019年3月~2021年3月

応募したきっかけ

もともと国際学生シェアハウスに住んでおり、桑の木寮のRAとも関わりがあった。また、米国留学中に住んでいた寮のRAにお世話になったこともあり、次は自分がやってみたいと思った。

五感で味わう異文化

夕飯時に異国の匂いが漂う廊下。どんな食べ物をどう調理したらあの匂いになるんだろうと想像が膨らむ。隣人の鼻歌は聞いたことがない歌。でもけっこう好きだ。後日「なんの歌うたってるの?」と尋ねると、照れながら教えてくれた。桑の木寮は常に新しい物事に触れられる、好奇心旺盛な私にはぴったりの場所だった。国際交流系ではテンプレートのように「自分の当たり前とは違う価値観に触れることで視野が広がる」と言われるが、それが真実であると理解できた2年間だった。

周囲を巻き込む楽しさ

毎週のようにRAで集まって話し合いを重ね、数々のイベントを企画した。イベントは、節分、夏祭りやハロウィンなどの季節ごとのイベントやポットラック(参加者が食べ物を持ち寄る形の集まりを指す)などバラエティに富んでいた。もちろん、学部の勉強や就活で目まぐるしい時期もあった。それでも、自分たちが企画したイベントで楽しそうにする留学生を眺めるのが私にとって何よりも大きなモチベーションだった。また、RAで一丸となって取り組んだことで親睦も深まっていき、お互いに支え合いながら活動を続けることができた。さらに、活動の中で全体を俯瞰する力や自分の役割を遂行する責任感が自然と養われたことも非常に良かったと思う。

留学生宿舎からの景色が教えてくれたこと

日本社会は意外と外国人に不親切だ。留学生と関わるまでは考えたことがなかったが、一緒に過ごしていると社会の冷たさに直面することがある。それは誰かの差別的な発言であったり、外見だけで邪険に扱う姿勢だったりする。生活上必要な数々の手続きでさえ、外国人や留学生には難しい仕組みになっていることも往々にしてある。社会に潜む不寛容さはマジョリティの視点で社会を見るだけでは実感できないものだとわかった。この学びは社会人になっても心に留めておきたい。

後輩へのメッセージ

英語が流暢に話せた方がいいのではと思うかもしれない。しかし、英語よりも簡単でわかりやすい日本語を話すことの難しさを私は痛感した。留学生は絶賛日本語勉強中であり、言語レベルも個人によって異なる。こちら側が言葉について指摘されることさえあった。夜に「こんにちは」と声をかけたら、留学生が「今は夜ですよ。どうして『こんばんは』ではないのですか?」と不思議そうにしていたことがある。たしかにそうだと言わざるを得なかった。結果的に、日本語を見直す機会をたくさん得ることができた。ぜひ、言語の問題は気しすぎずにチャレンジしてほしい。
余談だが、「留学生宿舎」という住所を見せると「留学生なんですか?」と尋ねられることは覚悟するべきだ。私はこの質問にこれまで何度答えたのかわからない。